実家を相続したものの、遠方に住んでいて管理できず、そのまま空き家にしている——そんな方に知っておいてほしいのが「特定空家」という制度です。「まだ誰にも迷惑をかけていないから大丈夫」と放置していると、ある日突然、固定資産税が跳ね上がったり、最終的には数百万円の費用を請求されたりすることがあります。

「特定空家」ってそもそも何?
「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律に基づき、自治体は放置された空き家のうち、次のような状態にあるものを「特定空家等」に指定できます。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- そのほか周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
さらに2023年の法改正で、特定空家ほど危険ではないものの「このまま放置すれば特定空家になりかねない」段階の空き家を対象にした「管理不全空家等」という区分が新設されました。特定空家に指定されてからでは打てる手が限られるため、この管理不全空家の段階で気づけるかどうかが分かれ道になります。
一番怖いのは「勧告」を受けた瞬間の増税
特定空家・管理不全空家に対する行政の対応は、次の4段階で進みます。
- 助言・指導:適正管理を促す通知。この段階で対応すれば負担は最も軽い
- 勧告:改善が見られない場合に発出される
- 命令:勧告に従わない場合。従わないと50万円以下の過料
- 行政代執行:命令にも従わない場合、自治体が代わりに解体等を実施
ここで見落とされがちなのが、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税の課税標準が本来の1/6(200㎡以下の部分)または1/3(200㎡超の部分)に軽減されているという点です。しかし②の「勧告」を受けると、この特例が解除され、翌年度から固定資産税が大幅に増額されます。更地と同じ課税水準に戻るため、増税幅が最大で約6倍という試算も紹介されています。2023年の法改正では、この特例解除の対象が「特定空家」だけでなく「管理不全空家」への勧告にも拡大されました。つまり、まだ倒壊の危険があるほどではない空き家でも、勧告を受けた時点で増税リスクが生じるようになったということです。
それでも改善しないと、行政代執行へ
命令にも従わず状態が改善しない場合、自治体が所有者に代わって解体などの措置を行う「行政代執行」に進みます。代執行にかかった費用(解体費・産業廃棄物処分費・諸経費など)は、原則として全額が所有者に請求されます。空き家1棟の解体費用だけでも数十万〜百万円単位になることが多く、代執行では市場価格より割高になるケースもあるため、数百万円規模の請求になることも珍しくありません。倒壊の危険が差し迫っている緊急の場合は、通常の手続きの一部を省略して代執行に進めるようにもなっています。
実際に土浦市でも行政代執行が行われた例があります。屋根に大きな穴が開き建物全体が歪んでいた特定空家等について、市が助言・勧告を行っても改善が見られなかったため、法律に基づき除却・修繕命令を発出(期限は令和4年6月20日)。期限を過ぎても所有者による対応がなかったことから、市が行政代執行に踏み切り、解体費用を所有者に全額請求しました。「そのうち何とかしよう」という先延ばしが、実際にこうした事態につながっています。
土浦市の相談窓口
土浦市では「第2期土浦市空家等対策計画」(令和5年度〜令和9年度)に基づき、空家等対策協議会(弁護士・建築士・学識経験者・市民代表等で構成)を設置し、適正管理・利活用促進・管理不全空き家の解消に取り組んでいます。空き家の管理や今後の方針に迷っている場合は、次の窓口にまず相談してみてください。
土浦市 生活安全課 空家対策係
電話:029-826-1111(代表)内線2240・2241
市では弁護士・司法書士・宅建士・建築士などの専門家が対応する空家等対策相談会も開催しています。相続した実家をどうするか決めかねている段階でも、早めに相談すること自体が「放置」にならない一番の対策です。
早めの相談が一番の対策
「助言・指導」の段階であれば、売却・賃貸・解体・空き家バンクへの登録など、選べる選択肢はまだ多く残っています。しかし「勧告」まで進んでしまうと増税という実害が発生し、そこからさらに放置すれば行政代執行という最悪のシナリオも現実味を帯びてきます。管理が難しいと感じたら、特定空家に指定される前の早い段階で手を打つことが、結果的に一番費用を抑える方法です。
土浦の空き家・相続した家のこと、相談先に迷ったら
くらしのごえんを運営するごえん株式会社(土浦市・2010年創業)では、相続した空き家や、片付けが済んでいない家、再建築不可・共有名義など、売りにくい不動産のご相談を受けています。片付けや解体の前でも、現況のままでご相談いただけます。
電話:029-879-5683(平日9〜18時)/ LINE・メール・フォームで相談する



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